音系同人社会の未来に向けて、2つの問い

ここ最近考えている問いを、2つほど垂れ流しておきます。

音系同人の枠組みを想定した広告宣伝・マーケティングの方法論

端的に言えば「CD/ダウンロード販売をもっと売る」を目指すマーケティング。
ただ、音系同人の枠組みを想定しているとはいえ、市場がその内部に限られるわけではないとは思う。

通常のマーケティング理論が通用していない理由は、多分以下の2つ。

  • 頒布機会が少なすぎてPDCAが回りきらない
  • 市場の規模が小さすぎる

同人社会はトラブルを許容できるのか?

トラブルの直接的な被害者はともかく、主語を同人社会全体としたとき、内部で起きる多種多様なトラブルを「許す」ことはできるのか?
「許さない」と言い続けてしまった結果が例えばこれ。

 揚げ足取りとは言えないような真に重大なトラブルに対しても「許す」仕組み自体は必要だと思う。

同人創作の本質と、コンテンツの複製可能性について

「コンテンツ」の本質として、複製可能性を掲げる人が多いです。それ自体はそれなりに正しいと思いますし、なにより複製可能なコンテンツになったことで、コンテンツを産業革命以後の大量生産大量消費の枠組みに乗せることが実現したわけです。

同人創作のインフラも、同人即売会に代表される通り大量生産・大量消費が前提になっています。同人即売会とは、多数のサークルを同一の枠組みで取り扱い、多くの参加者を受け入れ、大量の頒布物のやりとりを行う、まさに大量生産・大量消費のイベント。
とはいえ、同人即売会に一品モノの創作を持ち込む人もそれほど珍しいわけではありません。原画、グッズ、ハードウェアといった領域では、一品モノもしくはそれに近い少量生産物がむしろ主流です。

それとは別に、創作は必ずしも有形物に固定されるものだけとは限りません。例えば音楽は古来固定されておらず、その場で演奏される一回性のある創作を楽しむものでした。
では、そういう一回性、言い換えれば体験そのものを同人の枠組みに流せるのか?というお話。

 例えばコスプレもそういうことですし、元々私の同人活動キャリアの立ち上げはFirst Soundsの立ち上げから。つまり音楽発表会、一回性のある音楽を楽しむ場の立ち上げがスタートラインです。
なので……というと党派的な言い方にはなってしまいますが、こういう考え方、全面的に共感します。

さらに、ニコニコ動画をめぐっての言説。

 そういうことなのだ、と思います。本来「同期して一回性のある創作を味わう」ものだった生の体験の一部が、ニコニコ動画特有のリアルタイムのコメントによって複製可能、タイムシフト可能になった、という現実。

たぶん、同人の本質は大量生産・大量消費よりもっと手前、自由そのものにあるのでしょう。*1

*1:だからこそ、自らの自由を破壊しようとする同人即売会に対しては厳しく指摘することになります

APOLLO 第2回, 参加します

さて、あと1週間ちょっとしかないわけですが。

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APOLLO 第2回、参加します。

第1回は大騒動もありましたが、騒動起こしたプロジェクトには参加しない!ってのはやっぱり考えとして狭量すぎるところではありますし。

今回は, Magna Solemnitas, 変奏曲集, Khronosの3枚を持ち込みます。といってもDL販売だけですが。APOLLO 第2回の時期に色々とシャレにならないレベルで身辺が慌ただしいことが分かっており、実物の頒布はとても手が回りません。
実物はどの作品もTokyo Future Musicにはまだ在庫あるはずですので、そちらからの入手をお願いいたします。

というわけで、作品のURLをぺたり。

h-chromatique.booth.pm

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今回, Khronosはお値段お安めでのご提供となります。ちょうど手元の在庫もかなり心細いところまで来たので、作品自体を1000円枠から500円枠の廉価版に下ろしていこうかなーと思っているところでして、DL版は値下げを先取りしてのご提供になります。
また、歌詞カードの類は現時点ではつきません(用意しておりません) 近いうちに差し替えで用意できるかどうかもちょっと分からない状況です。

というわけで、APOLLO 第2回もよろしくお願いします。

その後、リアルでのイベントは冬コミの1日目(一部作品を「水底のステラ」様へ委託)、3日目の予定です。

スタジオYOUのいる未来

YOUがオンリー23個をビッグサイトに押し込んでみたら、スペースあふれてしまってイベント開催2週間前に一部のサークルを抽選落選扱いにせざるを得なかった、という件。
公開されているスペース数を単純に足し込んだところざっくり4000SP前後になったので、5/5のとうらぶオンリーで「この規模でもやれる」と味をしめたんですかねぇ……?あのときにコミケスタッフの支援を大量に得てなんとか形にしたって事実を貴様ちゃんは忘れたのかと。*1

それはそうと、これ。

@++ – あっとまーく・いんくりめんと -:11/11 スタジオYOUはいつまで支持されるのか。あと同人誌即売会のこの先の行方。

スタジオYOUの生き残りに関しては、オリンピックが一つの山場になるのでは、という主張。確かに理がありますし、東京圏ではYOUは他地方と全く異なる戦略をとっているので、「東京のYOUビジネスが継続不可能になる」懸念は確かにあります。*2

YOUは確かにハコを提供してくれます。ですが、確かにそこまで。コミケや大規模シティのように巨大規模イベントだとハコ提供以上のことをやるのが厳しいのは妥当な発想ですが、YOUは一部の超巨大イベントを除いては大規模とは言いがたいですし、そもそもハコにスペース詰め込みすぎなのが常態。YOU以上の満足度を得るイベントが開催不能とは思いません。*3
とはいえ、当然あちこちで指摘が出ている通り、YOUは多数の会場を恒常的に押さえ、既に正のフィードバックを得られる状況にあります。YOUに対して競争を売るのはなかなか簡単な話ではありません。

YOUの尽力もあって、ジャンルの立ち上がりスピードは速くなりました。刀剣乱舞はゲーム公開からわずか4ヶ月で4000SP到達。同規模のオンリーを実現した東方の世界では、例大祭が4000SPに到達するまでに紅魔郷から数えて8年間(!)かかっています。
なのですが、過去の人気ジャンルを見ていると、ジャンルの立ち上がりが急速なジャンルほど衰退も早い、という状況もあります。超早期に大規模オンリ-を連打した刀剣乱舞は、息の長いジャンルとして生き残っていけるのでしょうか?*4

個人主催イベントがYOUのイベントに対してどのような形で伍していけるのか、改めて考えてみたいものです。

*1:当時流れていたスタッフ40人説については情報が入ってまして、全スタッフのうちある特別な性質を持っているスタッフが40人だ、ということです。なので数字はある意味間違っていないんですが、キャプションが間違っている、というやつで。

*2:最も痛いのはコミケ・大規模シティだとは思います。ビッグサイト西館は女性向け仕様でスペース押し込んでもせいぜい7000SP前後。幕張がどこまで使えるか不明なところはありますが、7000SP突っ込めればYOU, ティアは現時点で困りません。が、同人即売会というライフスタイル自体が消え去ると多分一番痛いのはYOUかな……主張の本丸はそちらですよね?

*3:近年の例大祭や大規模シティなどは、余裕が出てきたスペースを即売会機能以外の満足度に振っています

*4:ただ、定期的にまとまった量の「燃料」が供給され続けるオンライン/同人ゲームと、基本的な燃料が原作に限られるアニメ・コミック出自のジャンルでは、このあたりの事情が変わってくるのかもしれません

はすみとしこの一連の件とプライバシーの議論についてのメモ

自分の考えをメモっておきます。

●前提:はすみとしこのやってることはアカン。全世界の共通した理念をぶっ壊しにかかっている。人道的にアカン。(じゃあ法律的にどうなんだ?という話はありうるけど、今回はぶっちゃけどうでもいい。はすみとしこに対する集団的攻撃や制裁は議論の射程外)

じゃあ、はすみとしこを支持すること、支持を表明することはアカンか?→とりあえず人道的にダメ、という主張はありうるし否定はしないけど、ルールとして全世界で共通して成立するとは言いがたい。てかヨーロッパとアメリカにおける「表現の自由」の重みの違いに直結。

はすみとしこ支持者のリストを公開する行為はアカンか?→常識的にはダメだろ。で、真にダメかどうかは神戸地裁の掲示板プライバシー事件判決 (解説: http://homepage3.nifty.com/matimura/hanrei/netprivacy/ )の射程を見比べる必要がある。

●この手のプライバシー暴露事案で、一般論として暗黙の意図ってのはどうなるんだ?→上記判決ページでは「被告の本件掲示行為の時期、背景、その内容等に照らせば、被告の本件掲示行為には何ら正当な理由は認められないだけでなく、被告は、原告に反発を示すニフティ会員が、被告の開示した原告の個人情報を利用して原告に対する攻撃的対応(原告がその後実際に受けたと認められるような嫌がらせ電話等を含む。)に及ぶことも十分ありうることを認識、予見して、本件掲示をしたものと推認される。」と言ってる。「推認される」って表現を使ってる以上、おそらくそういうこと。

●てわけで改めてはすみとしこ支持者リストの公開に戻ると→しばき隊/C.R.A.C.は新大久保デモ含めて暴力的事案で逮捕者を出している集団。掲示板事案以上に、「そういう事態に及ぶことも十分ありうることを認識、予見しているだろ」という主張は通しやすいはず。

●一方で、2ch流の「一般公開している個人情報を別のところに転載するのはOKだ」って考えはどうなのか?→神戸地裁判決の射程外。てか、この手の件については世の中でまだ判決出てない。

●じゃあ、はすみとしこを支持することはアカンのか?→少なくとも日本法ではそういう支持を禁止してない。ヨーロッパだと法の精神的には禁止されてもおかしくない領域だけど、この手の事案に対する日本法のアプローチは基本アメリカ流。現状の日本法では制限かかることは考えにくい。だが、言うまでも無く、法でOKされてるからといって何をやってもいいわけじゃない。

●法はどうなるべきか?→現状の日本では、ヘイトスピーチ禁止法含めてヨーロッパ寄りの方向に向かうべきだと思う。アメリカ法ベースの考え方は日本ではおそらく浸透しない:そもそも国民性、市民性の時点で日本においてアメリカ的な自由が真に定着することはありえない。

冬コミ受かりました&今後の予定とか

さて。

Twitterではお知らせしましたが、冬コミ受かりました。
スペースは3日目(木曜日)東館、ケ-55aとなります。

Webカタログ見た感じ、ピアノ系サークルの集まっているところに入ってるみたいですねぇ。最近のうちの主戦場はオーケストラなんで、どっちかというとオケ系が嬉しいんですが、配置は基本準備会が決めることですし。
色々大騒ぎあったことですし、うちのサークルではコミケは当面無理かと思ってたんですが*1、何とかなって幸いです。

というわけで、当面の即売会の予定をお知らせします。

○2015/11 APOLLO:参加予定です。ただまだ準備が進んでいないのと、色々身辺がばたつく時期になるので、どんな形で参加できるか読み切れないところがあります。
○2015/12 コミックマーケット:3日目に参加。まどマギCDは増産して1日目「水底のステラ」様(東セ34b)にも委託予定です。
○2016/03 京都開催のもう恐:まどマギ新作ピアノCDを、この時期をターゲットに検討中です。どうなることやら。……ってこの時期はMコミ併催の可能性?と思ったら、来年の春Mコミは4月で神戸開催なのかよ!
○2016/04 M3〜2016/05 コミティア:新作の作業中です。「交響曲第5番」を予定。
○2016/05 ビッグサイト開催の例大祭&もう恐:せっかくの同日開催ですし、多分何かやります。

……たしか2年前のこの頃って、地方即売会に出るぞー!って言ってたんですよね。いろいろ蓋を開けたら関東即売会に出まくっている件wwww

でも地方イベントも出たいですしねー。地方イベント、ちょっとした二の矢を考えてます。……考えている=やる、というわけにもいかないのがここらへんの面倒さ。

 

*1:コミケの配置は単純な抽選ではなく選考に近い性格があるのは確かですし

ごあいさつ:M3ではお越しいただきありがとうございました

さて、M3も終わりましたね。

というわけで、このたびは私たちのスペースにお越しいただき、ありがとうございました。
今回の新作は先週のもう恐とあわせて完売となりました。初売り一連のイベントで完売ってのはうちの同人活動だと初めてかも。*1
Magna Solemnitasもそれなりに手に取っていただいたようで、APOLLOめざして増産しないとまずい在庫量だったりします。

次は受かれば冬コミ、受からなければ来年春のM3……になるのかな?ちょっと読めないところが色々ありますが。

今回は(というかいつも)、M3スタッフの皆さんの善意がよくわかるイベントでした。M3に限らず大規模イベントでは、大半のスタッフの方はイベントにとてもよく貢献されていて、私たちサークル&(M3以外では)一般の身から見ると皆さんへの敬意を全面的に表明するところであります。

というわけで、これからもよろしくお願いします。

*1:足を運んで頂いて手に入らないってのは心苦しいので、ふだんはやや多めに生産するようにしてます。なんですが、今回はJASRAC絡んでいるので生産量が即出費に関わる構図が普段より強くて、生産量抑えました。

2015-秋M3 参加企画について

さて、連続日記の3発目は、今回のM3で参加させていただいた外部企画。

まず、壮大な曲コンピレーション、こと「おんぬえほ」。

conarrcmpkyo.wix.com

こちら、Disk1 Track 03: 「前奏曲」にて参加させていただきました。
第二展示場 ケ-32a “Symphonic City” にて頒布となります。

作品自体は、現時点でまだ表に出ていない計画中企画向けの連作の第1曲となります。思いっきりワークインプログレスで参加させていただきました。*1

そして、桜井ひかるさん Hical Recordsの新作”Kanonium”にも参加させていただきました。

Kanonium – Hical Records

こちらは、Track 05 “夏を追いかけて”にて参加しております。
曲自体はピアノ四重奏向けのフーガですが、いろいろな趣向を放り込んであります。

頒布場所はこちらも第2展示場、い-23bになります。

*1:なお、計画中企画は関係者の共通認識が「流れそう」という状態なので、全曲版が実現するかどうかはものすごく未知数です。

織姫演劇団旧作:CAILLINAD、今回も頒布してます。

今回、サークルの都合的一押し作品は、実は織姫オペラシアター時代の旧作になります。

ボイスドラマ第1作:織姫演劇団「この音のせかい – CAILLINAD APPEND -」

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ボイスドラマ第2作:織姫演劇団「きみを呼ぶことばたち ~CAILLINAD Apoc #1」

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演劇第1作:

織姫演劇団+劇団粋雅堂 同人演劇公演「CAILLINAD〜CLANNADソナタのために〜」

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てわけで、織姫演劇団作品のサイトをサルベージしてきました。

今回の頒布価格は、ボイスドラマCDが2作とも500円、演劇公演DVDは1000円となります。作る側で関わってた*1自分が、聴いてると涙が浮かんでくるような、そういう作品に仕上がっています。

というわけで、サイトサルベージにあわせて「この音のせかい」より1トラック目をサンプルとして公開しました。MP3も置いてありますが、モダンにはSoundcloudが妥当ですよね^^

soundcloud.com

以下余談。

“織姫演劇団旧作:CAILLINAD、今回も頒布してます。” の続きを読む