はすみとしこの一連の件とプライバシーの議論についてのメモ

自分の考えをメモっておきます。

●前提:はすみとしこのやってることはアカン。全世界の共通した理念をぶっ壊しにかかっている。人道的にアカン。(じゃあ法律的にどうなんだ?という話はありうるけど、今回はぶっちゃけどうでもいい。はすみとしこに対する集団的攻撃や制裁は議論の射程外)

じゃあ、はすみとしこを支持すること、支持を表明することはアカンか?→とりあえず人道的にダメ、という主張はありうるし否定はしないけど、ルールとして全世界で共通して成立するとは言いがたい。てかヨーロッパとアメリカにおける「表現の自由」の重みの違いに直結。

はすみとしこ支持者のリストを公開する行為はアカンか?→常識的にはダメだろ。で、真にダメかどうかは神戸地裁の掲示板プライバシー事件判決 (解説: http://homepage3.nifty.com/matimura/hanrei/netprivacy/ )の射程を見比べる必要がある。

●この手のプライバシー暴露事案で、一般論として暗黙の意図ってのはどうなるんだ?→上記判決ページでは「被告の本件掲示行為の時期、背景、その内容等に照らせば、被告の本件掲示行為には何ら正当な理由は認められないだけでなく、被告は、原告に反発を示すニフティ会員が、被告の開示した原告の個人情報を利用して原告に対する攻撃的対応(原告がその後実際に受けたと認められるような嫌がらせ電話等を含む。)に及ぶことも十分ありうることを認識、予見して、本件掲示をしたものと推認される。」と言ってる。「推認される」って表現を使ってる以上、おそらくそういうこと。

●てわけで改めてはすみとしこ支持者リストの公開に戻ると→しばき隊/C.R.A.C.は新大久保デモ含めて暴力的事案で逮捕者を出している集団。掲示板事案以上に、「そういう事態に及ぶことも十分ありうることを認識、予見しているだろ」という主張は通しやすいはず。

●一方で、2ch流の「一般公開している個人情報を別のところに転載するのはOKだ」って考えはどうなのか?→神戸地裁判決の射程外。てか、この手の件については世の中でまだ判決出てない。

●じゃあ、はすみとしこを支持することはアカンのか?→少なくとも日本法ではそういう支持を禁止してない。ヨーロッパだと法の精神的には禁止されてもおかしくない領域だけど、この手の事案に対する日本法のアプローチは基本アメリカ流。現状の日本法では制限かかることは考えにくい。だが、言うまでも無く、法でOKされてるからといって何をやってもいいわけじゃない。

●法はどうなるべきか?→現状の日本では、ヘイトスピーチ禁止法含めてヨーロッパ寄りの方向に向かうべきだと思う。アメリカ法ベースの考え方は日本ではおそらく浸透しない:そもそも国民性、市民性の時点で日本においてアメリカ的な自由が真に定着することはありえない。