トレパクをめぐる反社会性と、社会的制裁を考える

いわゆるトレパク行為がオタク社会を騒がせる事案、ちょくちょくありますよねぇ。最近だと刀剣乱舞関係で色々起きているようです。法的に/内容的にどうかってのは脇において、まあ騒ぎが起きてることの証明くらいにはなると思うのでまとめWikiへのリンク。

【とうらぶ】刀剣乱舞 画像盗用疑惑問題まとめ Wiki*

とはいえ、トレパク行為の全てが著作権的な問題とは言いがたいのでは?という指摘もあちこちに出ていて、例えばこちら。

unlimited blue text archive:トレパク騒動に終止符を

b.hatena.ne.jp

もっと言うと、「絵を見て参考にした」と「トレースした」はもし著作権侵害になる事案だとしたらどっちも平等にアウトなんですが、トレパクをめぐる議論だと前者はセーフ、後者はアウトとして扱われることが多いですよねぇ。

と考えると、「トレパクはダメだ」とされる規範は法規範ではなく、オタク界隈/イラストレーター界隈の独自のモラルなのでは?と考えざるを得ません。
著作権侵害は親告罪として規定されているものが多く、第三者がどんなに騒いでもパクラーに対して法的効果のある制裁を加えるのは困難です。その意味からも、トレパクを反社会的行為と見なす枠組みが存在するとしたら、それは著作権法によるものではない(著作権法では機能しない)はずです。で、トレパク事件のたびに騒ぎになっていることから、トレパクを否定する規範が「社会的に存在しない」と言い切ることは絶対にできません。
近年では「フルセット・コンプライアンス」という考え方もあり、企業や組織は法律を守るだけではなく(市民が求めている限り)モラルも守っていかなければならないという考え方が定着しつつあります。モラルに違反するような作品/製品をリリースする行為は、コンプライアンス違反と考えられます。*1

だとしたら、私たち一般市民はパクラーに対してどのように制裁を加えられるか。法による制裁はあらゆる意味で機能しません。
違法な手段による制裁には全く意味がありませんし、有効性も怪しいどころか下手すると逆襲されかねません。そういう手段を選ぶのはやめましょう。

たとえば以下のような手段が合法的な制裁として機能するでしょう。

(1) 不買運動の呼びかけ。パクったコンテンツを使っている製品そのものや、そういった製品を出している企業の製品について不買を呼びかける運動はいかがでしょうか。
(2) Change.orgという署名サイトがあります。こちらでパクラーの起用を取りやめるように、各企業への署名を展開するのはいかがでしょうか。

どちらも、「違法だから採用するな/買うな!」ではなく、「業界モラルを軽視する作家だから採用するな/買うな!」という線の動きになります。

*1:違法行為ではないことは全力で留意。