企画術向け:コンピへの盗作提出を回避する

みんな大好き(ぉ 2.8mile事案以来、多くの同人コンピや企画で参加者に対して「盗作でないことを証明するための資料」の提出が求められるようになってきました。

香港の即売会では海賊版でないことの証明のために生原稿の持参が求められていたり*1、何らかの証明を求めること自体が無益とは思いません。というか同人社会はあまりに性善説すぎましたし、ある程度は性悪説側の立場も生かしていく必要があるんですよね。
とはいえ、何をどう提出してもらうのが妥当かってのは、性善説/性悪説とはまた別筋の話。いくつかのシナリオを考えてみます。

そもそも証明の意図は何でしょうか?

  1. 盗作を目論む人に心理的負担をかけて、盗作が提出される可能性を減らす
  2. 盗作を含むコンピが世に出ないようにする社会的要請に対して、企画者が対応していることを示すポーズ
  3. 万が一盗作を含んだコンピが世に出た場合でも、企画者が十分な措置をとったことを証明して過失による責任を負わずに済むための事前対応
  4. 盗作を根絶する

(1) なら、それこそ何かの証明をしてもらえばOKです。たとえばMIDIの提出とか、スケッチの提出とか、スクリーンショットの提出とか、一部パートを除いたor一部パートのみの音源とか、そんな手段で十分です。
(2)でも多分似たようなところでOKでしょう。とはいえ、社会的要請に対してポーズで応えるってのがそもそもどうだか?というところもあるのですが……
(3)だと色々微妙なところが残ります。一度訴訟になってみないと分からないところかも。
(4)だとしたら、現状しばしば取られている手段では明らかに不足です。過去に、作業結果のMIDIファイルを持っていた人(友人とか、があり得そうです)がそのMIDIファイルをつかって盗作した、といった事例があるようで、そりゃ資料レベルで作れますわな。

個人的には、盗作提出行為の回避は(何らかの証明提出を求めることは別途考えるとして)メインのルートは契約に基づく損害賠償の事前規定で何とかしたいところです。

*1:デジタルの人はどうするんだろう……

企画の体制組みのこと、うちの実績を紹介します

なんだかんだ言っても、実績出してない人が何言っても説得力がないという構図は否定できないんですよね。
うちの場合は「企画運営能力ゼロ」という風説を言いふらして回ったどっかの誰かさんのおかげで普通より厳しい状況になってると思います。

なので、うまくいった過去企画(=実績)の座組規模を紹介してみます。

Khronos

大規模作品に限るとうちの復活第一弾。
ストーリーをFlagiolettoさんのチームにお願いして、絵師さんもFlagiolettoさん繋がりでお願いしています。ボカロ調教は根気Pさんにお願いしております。これもFlagiolettoさんからのリクエストの実現。

チームの人数としては6人になるのかな。全体ミーティングってわけにはいきませんでしたが、会える方とは直で会って話を進めていける限界規模になります。東京圏以外の方もいらっしゃるので、日常的に顔を合わせて進めて行くわけにもいかず……

あのときは絵師さんとの連携があまりうまくいかなくて、次からの課題になりました。

ad Bacchum!

ちょうどKhronos終わったかどうか?くらいの時期にTwitterで亜樹さんとお話するようになって、サイトとかお願いしつつ、たしかこの作品から本格的にお願いした記憶があります。
この企画のときは、イラストを春日沙生さんにお願いしてその他デザイン周りを亜樹さんにお願いしました。ちょうどこの企画と前後するくらいの時期で春日さんが商業デビューされてびっくり。

座組としては3人体制。新規の収録や音楽制作がなかったのでこの程度で済みました。

Khronosで残された*1課題だった絵師さんとの連携まわりで、初の成功事案になりました。メインスタッフが全員関東圏だったのでキックオフや打ち上げをリアルで集まって開催できたのも良かったところ。

動画は自家製。とはいえやっぱり華やかじゃない動画ってアクセス数取れないんですよね。動画とかプロモーションまわりが課題になりました。

眠り姫の子守歌(合唱版)→変奏曲集(2つの聖歌)

うちが本格的に回して結果を出したボイス企画という意味では、これが多分初めて。
この企画以前でもボーカル募集をかけたことはあったのですが、いろいろオペレーションがうまくいかなくてお蔵入りになったりしていたので、自分自身としてもこわごわの着手になりました。

リスクの最小化を旨としてスモールスタートを心がけて、眠り姫の子守歌合唱版→変奏曲集(=2つの聖歌)と企画の規模を大きくしていきました。

変奏曲集のアートワークは引き続き亜樹さんにお願いしつつ、変奏曲集から外部の方に動画をお願いするようになりました。たまたまTwitterで知り合ったacockさんに依頼させていただいて、変奏曲集~Magnaの2作品で快く受けていただけました。感謝!
ただ、プロモーション面ではまだまだ課題が残ったという認識です。昔に比べてまず「見てもらう」ための壁がとても高くなっていて、なかなか大変です。

変奏曲集あたりで10人~程度の体制だったと思います。

Magna Solemnitas

いよいよ長期企画での多数ボイス起用にチャレンジ。とはいえ長期企画は難しいと言われている通り、降板者とかコンタクト途切れた方とかけっこういらっしゃいました。合唱企画の形にしたことでリスク回避がある程度効いてなんとか形にできましたが、結果はけっこう薄氷の世界。このへん、まだまだ考え抜いていかないとですね。

Magnaからはプロモーションまわりも力を入れていくことにしました。矢野芳典さんにお願いしつつ、途中からはみやびさんも手伝ってくださいまして、プロモーションに関しては出発点には立てたと思います。まだまだ課題は残っていて、次期企画(人魚姫)で実績を作るべくがんばっていきたいところ。

ただ、この規模になると企画メンバーに関東圏以外の方も多数含まれるようになるので、キックオフや打ち上げを開催しづらいあたりがちょっと苦しいところ。遠隔地含めたキックオフや打ち上げ、うまくやれる方法考えて行きたいです。

座組としては20人以上の体制。いまの自分のスキルだと、これ以上の規模では一人一人にきちんと目を配る企画運用はちょっと難しいかもしれません。

そして未来企画:人魚姫(コードネーム)

まだ座組の規模も見えてませんが、うまく回せるようにがんばっていきたいです。以前からの課題を積み上げていくと、今回はプロモーションが大きな課題かな。
Magnaのときは歌以外について高コスト体質で運用回したところもあるので、人魚姫ではある程度のコスト削減も考えて行きたいところ。お金をかければ結果が出るといっても、かけたお金以上の結果がある程度読める状況にできないとお金をかければかけるほど損失額がふくれあがるのも事実です。

*1:実のところ, primenotes/織姫からずっと重い課題でした

検討中の企画についての情報開示について

さて。

うちが過去にトラブルを起こした経緯も含めると、うちの活動継続に際しては企画運営に一定の透明性を求められ、説明責任があると考えております。*1

というわけで、検討中の企画についても以下の条件を満たす方には情報を公開させていただきます。お問い合わせください。

  1. 公開を求める理由についてお伺いします。私自身も企画の内情を公開することになりますし、特に立ち上げ期の企画の場合、運営や存続についてリスクが増える構図にもなりますので、私が納得できる理由の提示をお願いします。
  2. 守秘についてご協力いただける方。企画の性質によっては個人情報の取り扱いが関わるものや、十分な根回しなしに情報が一般公開されると企画を即時シャットダウンの上、存在自体を否定せざるを得ない性質のものもあります。なので、私からこの枠組みで公開する情報については第三者への公開を一切禁じる秘密とさせてください。
  3. 私から情報を開示している相手の情報については随時、もしくは適切なタイミングで公開する可能性がございます。
  4. 企画をより良いもの、そして社会的に安全なものにするために、一定の協力をお願いします。具体的には企画内容のブラッシュアップへの協力、企画情報の拡散への協力を含みますが、これらに限られません。

*1:要は、織姫オペラシアター的なことを二度とやらない、という話ですよね

音系同人世界への長期的課題

つらつらと。

  • 表現活動が認められる条件を明確にする
  • 企画を失敗(中止)させないためのインセンティブの検討
  • はたして誰が権力者になるか?

表現活動が認められる条件

現状の社会ならば「表現の自由。以上。」で終わります。なんだけど、表現の自由にしても何にしても、自由権が長期的に認められるという考えは成立しないような気がしてましてですね。
自民党の「暴走」って言うけど、じゃあ民意は基本的人権を容認するのか?というと、容認しないわけですよ。天賦人権説?ばかばかしい。あんな古めかしい絶対権力を前提とした思想なんて、カビが生えた古い世界相手ならともかく、現代には適用できませんよ。*1

とはいえ、絶対権力がどこかに存在してその権力が認める範囲で表現が認められるという思想も我々が70年前に通過して捨ててきた考えで、それを取り戻すのは逆に筋が悪いと思うんですよね。それこそ絶対権力なんか立ち上げたら、自由主義思想との二元対立が再開して、絶対権力は敗北します。*2

となると、どのような条件が満たされれば表現活動が認められるのか。民主的に考えると、「みんな=多数派が認めるような表現だけが正しく、そういう正しい表現をしている限り表現する権利が認められる」というアプローチにたどり着くんじゃないかな、と。*3……じゃあ、「みんな」って誰よ?「みんな」が認めない表現に対してはどういう形での懲罰が可能?*4

企画を失敗(中止)させないためのインセンティブ

なんで企画中止が疑心暗鬼を生み出すかというと、企画を中止した企画者に社会的制裁が加えられないからですよね。*5

てわけで、何かしらの社会的制裁を制度化する必要はあると思うんですよ。一応刑罰の形を取る制裁だから、デュープロセスは必要かな。*6……誰がデュープロセスを具現化して、誰が制裁を加えるの?*7

果たして誰が権力者になる?

てわけで、自由主義が失われている場で民主主義を実現するには、結局民主的なプロセスを主導する暴力装置としての権力者が必要なんですよね。

誰が権力者になればいいんだろうか。

 

*1:これは皮肉じゃなくて大まじめな話。自由主義思想が絶対王政の類いを世界のほとんどから追放してしまった結果、絶対王政=旧来の悪に自由主義思想=新しい善を対置する二元論的な対立構造が機能しなくなったわけで、逆に言えば「天賦人権説なんかばかばかしい」とばかりに自由主義思想=旧来の悪に対する新しい善を考えざるを得ない時代ではないかな、と。言い換えれば、基本的人権をベースとする自由主義自体がアーキテクチャ、環境管理型権力として一種の絶対権力的な役割(=打倒されるべき何か)を果たしているとも言えます。

*2:それこそフランス革命再びというやつで、同じ構造があれば得られる結果は同じです

*3:別に多数決に頼る必要もなくて、「みんなが納得する答えが必要だ」というやつです。少数のクレーマーがいたとしたら、彼らの考えを尊重しなければならない、という民主主義ですし、現代社会で起きている価値の相対化の動向にも乗っかっているつもり。

*4:つまり炎上ってやつで、誰も暴力装置持ってないから、暴力装置に頼らない私刑しか成立しないんですよね。少なくとも現代の日本社会において警察に代表される暴力装置が民主的に機能していないのは明らか。自衛隊?災害以外で実感ないでしょ。

*5:過去に制裁を加えようとした人はいましたが、アレは制裁というよりは単にのび太君がジャイアンに立ち向かってたたきのめされただけという気がしなくもなく

*6:制裁される側が納得しないと、例えば社会の場がこうなりますよね。

*7:市民が三々五々加える私刑がデュープロセスを満たすのは、普通に考えたらあり得ないので。

音屋・絵師・ボイスコさん側からの企画倒れ対策

音屋さん・絵師さんやボイスコさん永遠の悩み、企画倒れ。

参加する企画がリリースまで走り抜けられるか、そして良い形のリリースが実現できるか。

企画を倒すのが良いとは言いませんが、不可抗力も当然あり得ますし、企画倒れに神経質になるならコンテンツを提供する側としてもある程度の自衛はしたほうがいいと思うんですよね。

というわけで、三輪士郎さんがtwitterでいろいろ語られていたので貼ってみました。

その通りだと思うのですが、フリーランスの仕事って(特に音系だと)まだキャリアを積み上げていない最初のうちは名前が出せない仕事ばかりですよねぇ、というイメージ。
音系同人の世界をうろついていて、「商業の仕事をまとめてもらってきて、同人関係者に配って回るブローカー的な誰か」が存在するのかも?と思ったことが何度かあります。こういうブローカーの人が存在すればBtoBでの宣伝(=表に名前が出なくても内輪の人たちは誰がやったか全部知ってるから宣伝になる)が機能するので問題ないのかも?という構図ではありますが。

ここが本丸ですね。

以前、ボイスコさんへの依頼規定に「原則無償で受けますが、企画倒れした案件については有償とさせていただきます」という趣旨が書かれていたのを見たことがあります。
企画倒れすると、もしくはペンディングさせるとコストがかかる構図は、そのまんま企画倒れさせないインセンティブに直結するので、合理的に動けば多分機能するのだろうな、と思ってみたり。

企画者を事前に信用調査するアプローチを主張される方もいらっしゃるのですが、それって本当に機能するんでしょうか?有名どころの企画者さんはOKなのが分かるとしても、それ以外がどうなることやら。もちろん有名企画者の仕事だけでいっぱいいっぱいになる有力なパフォーマーさんだとこれで機能するんですが。

過去記事紹介:企画術の記事

うちのサークルとしての社会貢献事業の一つ、企画術のまとめ。

過去に大失敗で大事件を起こした身として、自分たちの失敗を踏まえた上での機能するノウハウの展開や、よその活動者さんが公開されているノウハウに対するコメント付けといった活動を展開していきます。

というわけで、昔の企画術記事を改めて紹介。

 

h-chromatique.hateblo.jp

よそのブログで2.8mile問題を通じて「企画べからず集」的な記事が公開されていたので、
おそらく元のブログ主は一連の2.8mile問題を興味本位で追いかけている方かなと予想しているのですが、そういう立ち位置が幸いして普遍的なノウハウとして機能するような記事になっていました。まさに、林先生の記事 【2244】興味本位はダメですか?‏ への答えを体現する現象かと。

 

h-chromatique.hateblo.jp

音系同人では、なぜか企画主と参加者が「仲良くする」ことを否定し、「仲良くする」ことを要求する企画は危ないというノウハウが提示されることがあります。

なんですが、ビジネスの世界では「チームビルディング」ってノウハウがあることで見える通り、チームが仲良くなければまともな仕事はできないというのが一般的な見解です。

ただ、フリーランスの仕事の世界だとチームビルディングって百害あって一利なしの世界なんでしょうか?ちょっとここは個人的にも分からない話。

h-chromatique.hateblo.jp

IT業界x音系同人業界でノウハウ共有しませんか?という話。

「どう依頼すればいいか分からないけど、自分で手を動かすことはできそうにない」ような作業をどうお願いしていけばいいか、という話題です。

個人的な見解を言ってしまえば、誰かに表現活動をお願いする以上、ロボットやソフトのオペレーターになってほしくはないな、と思っていたりします。

企画のトラブル回避ノウハウ

これね。

ajinori800.hatenablog.com

このblogの本題自体2.8mileなんですが、この記事自体はそれなりに普遍的な話*1を語ってると思うので論評。
なお、本記事で引用元特記なき引用は、すべて上記blogエントリ内からの引用です。

違和感を放置しない。

これとっても大事。ロジカルじゃない違和感こそが発見の第一歩です。良い意味でも、悪い意味でも。
ノーベル賞級の研究だって、ちょっとした違和感が実現の出発点になってたりします。白川博士のノーベル賞研究だって、発端は助手の実験ミスです。

有名人と知り合いであることを事あるごとに自慢する人物には注意。

人間関係絡みでよく言われるノウハウですね。それ自体が詐欺的行為と直結しているロジックは多分ないんですが、人格に問題がある人はあらゆる種類の不正を行いやすいという相関で導ける話なのかな。

スケジュールは余裕を持つこと。当たり前だがなかなか守られていないのが現実。

それ自体はとても大切なことですが、根本目的違うだろwwwwwww

内部での情報共有は、誰かを介してではなく直接行う。

「当然」です。そもそもチームを立ち上げる時点で情報共有プロセスとか熟考しておくべき。

チーム内の情報共有を1:1でやるのは本来間違いだと思ってます。ただ、「オープンの場には出せない」という類いのクレームをどう扱うか、という課題が残ります。
スジだけを通すなら「オープンの場に持ち出せないクレームには理由がないので持ち出すな!」なんですが、それはそれで心情的な問題は解決できないしなぁ……
うちの場合、「クレームはこの人に」という窓口をチームの内部からちょっと離れた場所に用意して、直接言えない類のクレームをチーム運営の改善に繋げていくプロセスとして位置づけています。

主催は、完成音源だけではなく一部のパートをオフにした音源など、作者本人でなければ出すのが難しいデータを提出させ、本人確認を行う。 

 これ、上記blogでも書かれている通り決定打にはなってません。が、確実に有益な一手法ではあります。
「オリジナルのMIDIをベースに偽装する」類の事案や、メロディーだけ完パクリといった事案にどう対処するか、改めて考えたいところ。
商業だと損害賠償で片付ける事例が多いと思いますが、損害賠償を事前に合意したと仮定しても同人では2.8mileの事案をベースに考えると「賠償能力ありません」で逃げられてしまう可能性が高いですよねぇ(苦笑

企画を立ち上げた時点でCD制作の費用が用意されていないのは論外

 用意自体はされてなくてもいいんじゃないかなー、と思いますね。必要な予算の用意のめどが立っていればOK。
妖精郷だと400枚ってことなんで、普通に作ったら10万円~20万円のオーダーで済みますよねぇ?2.8mileにとっては特殊な事情があって厳しかったとしても、標準的な企業に勤めるフルタイムの社会人ならボーナス1回分でまかなえる金額です。そんなにハイリスクではないと考えるのが妥当。リスクとして残ることは認めますが、同人である以上ゼロリスクを求める話じゃないはずです。
たとえお金を用意しておいたとしても、例えば事故を起こして損害賠償に全額消し飛ぶといったシナリオは当然あり得ます*2。なので、制作費不足は「用意しておいたとしても」リスクとして残ると考えてます。

てかですね。2.8mile関連の一連の事件、浦賀船渠/豊郷ティータイム問題と同じで、こういうことなんですよ。

 

 2.8mileがやったのもそういうことです。もちろん法的な問題もある犯罪ですが、それ以上に音系同人の性善説を破壊している。

……なんですが、疑心暗鬼が広がると、ちょっとした失敗が性善説の破壊に力を貸してしまうんですよね。それもそれでどうなのかなーという気もします。
本来は、誰かの失敗を悪意を持って読み解く時点で性善説の破壊だろ?というところもあって。

*1:ただし構造自体は音系同人特化なので、他の分野に持って行くときは読み替えは必要

*2:差し押さえ食らったら「制作費!」って言い分は通らないはずです

トレパクをめぐる反社会性と、社会的制裁を考える

いわゆるトレパク行為がオタク社会を騒がせる事案、ちょくちょくありますよねぇ。最近だと刀剣乱舞関係で色々起きているようです。法的に/内容的にどうかってのは脇において、まあ騒ぎが起きてることの証明くらいにはなると思うのでまとめWikiへのリンク。

【とうらぶ】刀剣乱舞 画像盗用疑惑問題まとめ Wiki*

とはいえ、トレパク行為の全てが著作権的な問題とは言いがたいのでは?という指摘もあちこちに出ていて、例えばこちら。

unlimited blue text archive:トレパク騒動に終止符を

b.hatena.ne.jp

もっと言うと、「絵を見て参考にした」と「トレースした」はもし著作権侵害になる事案だとしたらどっちも平等にアウトなんですが、トレパクをめぐる議論だと前者はセーフ、後者はアウトとして扱われることが多いですよねぇ。

と考えると、「トレパクはダメだ」とされる規範は法規範ではなく、オタク界隈/イラストレーター界隈の独自のモラルなのでは?と考えざるを得ません。
著作権侵害は親告罪として規定されているものが多く、第三者がどんなに騒いでもパクラーに対して法的効果のある制裁を加えるのは困難です。その意味からも、トレパクを反社会的行為と見なす枠組みが存在するとしたら、それは著作権法によるものではない(著作権法では機能しない)はずです。で、トレパク事件のたびに騒ぎになっていることから、トレパクを否定する規範が「社会的に存在しない」と言い切ることは絶対にできません。
近年では「フルセット・コンプライアンス」という考え方もあり、企業や組織は法律を守るだけではなく(市民が求めている限り)モラルも守っていかなければならないという考え方が定着しつつあります。モラルに違反するような作品/製品をリリースする行為は、コンプライアンス違反と考えられます。*1

だとしたら、私たち一般市民はパクラーに対してどのように制裁を加えられるか。法による制裁はあらゆる意味で機能しません。
違法な手段による制裁には全く意味がありませんし、有効性も怪しいどころか下手すると逆襲されかねません。そういう手段を選ぶのはやめましょう。

たとえば以下のような手段が合法的な制裁として機能するでしょう。

(1) 不買運動の呼びかけ。パクったコンテンツを使っている製品そのものや、そういった製品を出している企業の製品について不買を呼びかける運動はいかがでしょうか。
(2) Change.orgという署名サイトがあります。こちらでパクラーの起用を取りやめるように、各企業への署名を展開するのはいかがでしょうか。

どちらも、「違法だから採用するな/買うな!」ではなく、「業界モラルを軽視する作家だから採用するな/買うな!」という線の動きになります。

*1:違法行為ではないことは全力で留意。

同人企画の不思議:なれ合いって?

ボイドラ界隈とかで、ちょくちょく出会うお話。

企画者やボイスコさんの間では、企画主が「参加者と仲良くしたい」というコンセプトを前面に押し出している企画は企画倒れする、というノウハウ(?)があったりするみたいです。
なんですが、企業のチームビルディングのノウハウを追いかけると、メンバーが仲良くしてなければアウトってのが前提なんですよね。最近だとベンチャー企業が呑み会の制度化をやってたりするご時世。

techlife.cookpad.com

企業ですら取り入れられているはずのノウハウ、なんで同人だと逆の意味合いで取られているのでしょうかねぇ?
チームが仲良くなること、つまり一体感を作るのは悪いことじゃないはずなんですが、なぜなんでしょうかね……?

うちが立ち上げるプロジェクトでは、メンバー全員運命共同体と思ってます。チームが仲間割れ起こしている状況で良い作品を作れるとは思っていません。なので、うちの企画では最後まで仲良くいっしょに走って行きたいです。

発注の知恵をIT業界に学ぶ

こんなTogetterが盛り上がってるわけですが。

togetter.com

で、「ちゃんとした発注をできない発注側がバカだ」とか言ってても、何も始まらないと思うんですよね。
「新しくコンテンツの力を借りて何かやりたいけど、どう発注したらいいかも分からない」って企業はいくらでも存在するわけで。

そんな状態、コンテンツに限らずIT業界でも当たり前のように起きてます。

なんで、IT業界ではこんな知恵があります。「何を発注するか」を決めるまでと、具体的な発注を別の契約にする、というテクニック。
前者は準委任という法的形態になって、お互いベストを尽くすことは求められますが、結果を出すことは求められない契約スタイル。一方、後者は結果を出してなんぼの契約スタイルになります。こうすると、「そもそも発注するかどうか分からないよね?」というレベルからのスタートでも、周囲の力を商業的に借りて何を発注するかを決められるようになります。*1

オタク系コンテンツ(マンガとか)の世界でも、そして同人の世界でも、この技使えないですかねぇ?

*1:そんなところにITコンサルの出番があったりします。IT畑の○○総研の仕事ってだいたいこれ。