ちょっと深刻な話が流れてきたので、紹介。
発端はこちら。
【トレ29】出展禁止サークルを公開しました。該当サークル以外の方にはご入場時のサークルPASSご確認の際にお時間、ご迷惑をおかけしますが何卒ご協力の程よろしくお願いします。 https://t.co/hOsiZHlxRD pic.twitter.com/kFL8frUB78
— おつゆ_こみトレ_5号館_わ99ab (@heroine_of_stb) 2017年1月14日
ここで名前が出されている「堕落部」の中の人と思われるアカウントが、このようなツイートをしています。
何だろうこれ(チケット画像は切ってる) pic.twitter.com/wUcOKZ3d1n
— 鉃 (@isinagi99) 2017年1月14日
①:オークションの出品者情報と住所氏名が一致している。
②:もし全くの他人が騙ってても関係なく出禁。
③:チケットは手元に無し(俺が持ってる)
④:落札は青ブーブー。落札後に出品者情報のみを得て、取引せず。キャンセル。— 鉃 (@isinagi99) 2017年1月15日
【謝罪】誠に申し訳ないのですが該当のサークルチケット1枚Yahooオークションに出品されていたようです。知人に渡していた分を流されていました。ご迷惑をおかけし申し訳ございません。その他はこれまでのツイート通りです。
— 鉃 (@isinagi99) 2017年1月15日
この一連の問題には、山ほどの論点があります。
結論から言うと、ケイ・コーポレーション(赤ブーブー、青ブーブー)のこの手の問題に対する意識は擁護しようがないほどに甘すぎる、ということになります。
以下詳細になりますので、折りたたみます。
そもそも誰が出入禁止を発表すべきか?
最初の「おつゆ」さんのツイート。
青ブーブー配下の公式ページへのリンクにて、出展禁止の告知をしています。
出展禁止の一次告知が公式サイトであることは、「正しい」と考えます。
で、青ブーブーさんは公式のtwitterを持っています。
本来であれば、「一人のスタッフにすぎない」おつゆさんがtwtterで告知する前に、公式のtwitterで告知すべきではないでしょうか?
ただ、これは単独ならさほど大きな問題でもないです。なぜなら一次告知が公式サイトで出ているから。
ですが、この問題は単独ではありません。なので問題が残ると考えます。
「堕落部」の中の人のツイートで、おつゆさんとの間でDMでやりとりしている記録がありました。
おつゆさんは一人のスタッフ……ということになっています。外から見て、彼がスタッフであるかどうかは不明です。*1
おつゆさんが、なぜこの問題について話せる権限を持っているのでしょうか?「一人のスタッフである」は、この規模の即売会では「決定権限や話せる権限を持っている」を意味しません。
例えば私も30SP~200SP規模の即売会スタッフを務めたことがありますが、その規模でさえ私にそんな権限があったことはありません。というか権限があるかどうかを考えることすらしません。
「出入禁止告知」に対して問い合わせを受けても「私には話を聞く権限がありません。公式の窓口へ。」としか言いようがないはずなのです。
もし公式に権限を持っているのであれば、それが理解できるような形が準備されていなければならないはずです。おつゆさんに、ここまでやりとりする権限はあるのでしょうか?
そもそも罰則の運用、これでいいの?
参加禁止は、少なくともそのサークルにとって販売機会を喪失することになります。
即売会直前となると、サークルは既に参加&当日の頒布に向けて多くの投資をしており、参加禁止処分はその投資を無に帰す処分です。即売会開催直前の処分は、なおのこと慎重でなければなりません。
ですが、この一連の運用ではざっくり見て以下の荒っぽさが目に付きます。
- そもそもサークルに弁明の余地が一切与えられていないと思われる
- 青ブーブー/ケイコーポレーションはそもそもチケットを入手していないので、物証が何もない。罰則の適用について、(同人だけではなく)一般社会的に通用する証拠があるのか?
サークルの中の人のツイートを信用する限り、処分はとても唐突なものだったようです。おそらくサークルには弁明の機会がなかったのでしょう。
弁明の機会があれば、ここまで唐突にはなりません。
そもそもデュープロセスの観点から見て、(たとえ十分な証拠が積み上がっていて処分待ったなしの状況だと仮定しても)弁明の機会があることはそれ自体が重要です。
「規約違反を犯すような人の弁明は信用できないので、そもそも聞かなくても同じことだ」という考えはあり得るかもしれませんが、世の中はそのような考えで動いてはいません。一般社会が許さないことに対して、「同人だから許される」なんてことはないのです。*2
なお、コミックマーケットでは弁明の機会を与えていると思われる情報があります。
こみトレの出禁話の件、コミックマーケットではオークション出品されたら出品されたサークルさんに確認を取ってるとのことなので(検索したけど人様あてのリプのため割愛)、通報システムの確認が偽装可能、かつ当該サークルに事実確認ないのはほんとにまずい。
— さの (@sanana79) 2017年1月15日
個人情報取扱いの問題:ヤフオクのガイドライン違反疑念等
青ブーブーの行動に、ヤフオクの利用規約(ガイドライン)に違反すると思われるものがあります。
上記利用規約に、以下のような記述があります。
出品者および入札者、落札者の順守事項
(1) 本サービスの利用を契機としてお客様間で契約が成立した場合には、取引条件に従い互いに誠実に義務を履行してください。
(2) 商品等にかかる取引に必要な範囲を超えた、他のお客様の個人情報や他のお客様が投稿をしたコンテンツ等の収集および利用は禁止します。ここでいう個人情報とは、氏名、メールアドレス以外にデータ、文章、写真、図面、絵、音、音楽、評価等、本サービスに関連して利用者が掲載、送信した全てのものを指します。
青ブーブーがサークル参加を断るために必要な個人情報収集は、取引に必要な範囲と言うのでしょうか?
青ブーブーは個人情報保護法に言う個人情報取扱事業者にあてはまります。個人情報取扱事業者は、個人情報取得時に利用目的を通知・公表する義務を負います。ヤフオクでの取引でその目的は通知・公表されていたのでしょうか?
小規模な即売会で甘さがあるのは、現実問題としてやむを得ません。ですが、ケイ・コーポレーションは1日あたりのサークル数ではコミケをも凌ぐ日本最大の即売会を開催している企業です。このような甘さが許される対象では決してありません。
どうすべきだったか
そもそもサークル名が確認できている以上、青ブーブーがやるべきことは以下の流れのアクションでした。
- まずはサークルに問い合わせ
- サークルが意図的なサークルチケット転売を認めた場合、その回の参加はお断りで良いし、「社会的に重大な問題として共有されている形で意図的に規約違反を犯した」ことになるので後日の即売会についても参加拒否は十分にありうると考えます。
- サークルが渡した売り子が(サークルが認めていない状況で)勝手に転売かけた場合は微妙。その回のお断りは「サークルチケットを渡す相手がそういう馬鹿をしないように管理する責任がある」という結果責任(過失ですよね、これ)があるのでOKと考えますが、その後の参加拒否はNGかなぁ。
- サークルが転売行為を認めない場合は、具体的に落札しての確認が必要。現物確認が必要(そもそも転売行為自体が詐欺の可能性を否定できない)
サークルが転売していた場合であっても最終的に証拠は揃わない可能性があるので、厳重な警告が限度か?
サークルはどうすべきだったか?
サークルチケットの転売OKって文脈は、同人界隈にはありません。これは絶対的に一般常識レベルでNGですし、大きな問題に繋がっていることを多くの人が知っている類の話です。
なので、サークルが自ら転売行為に手を染めるというのはアウトなのですが、今回の話はそうではなく、売り子が勝手に転売をやってサークルを裏切ったという話である……という前提で。
まずは、売り子にもきちんと即売会のルールを理解してもらう必要があるでしょう。「転売はダメ」という常識を、(常識に頼らず)きちんと理解してもらう。そしてそのエビデンスを残すべき……ということになります。
典型的には、少なくとも「その点了承した」旨のメールやりとりが必要かと考えます。
本来は売り子程度でエビデンスとか考えるのは嫌なのですが、イベントに対する説明で性善説が通用しないならばこうせざるを得ません。