先日のコミックマーケットにて、サークルチケットの不正転売の容疑で2つのサークルが追放処分となりました。
出展サークル専用通行証のネットオークションへの出品を行ったサークルの参加お断りについて
配置担当者からのひとこと欄にも、「デジタル(その他)配置担当→企業について」の欄に追放処分の実施をうかがわせる記事があります。
コミックマーケット88 スタッフからの一言コーナー スタッフからの一言コーナー
で、こういう処分ってアリかナシかで言えば、個人的には「条件が満たされればアリだ」と考えてます。むしろ条件がどんなものか、が問題。
一般論として、以下の条件はあるところでしょう。
- 既に「公開されている」*1お願いやルールなどから考えてペナルティを受けることが十分に予想できる状況で、予想できる範囲のペナルティが科される
- ペナルティの実施について、トップマネジメントの了解、もしくはオーソライズされた担当者*2の了解がある
- ペナルティを受けるサークルに対して反論の機会が十分に準備される
これらの考えからすると、サークルチケット転売事案については十分にOK、企業とサークルが一体化した系の事案については微妙なところになります。「企業が参加してはならない」というルールはありますが、「企業からの受託を受けてはならない」が追放に値するレベルの問題、特に企業とサークルが一体視されるレベルの問題か、というと疑問が残ります。そもそもそうやって一体視されたサークルは企業としての実態を持っていない可能性があり、「サークルに戻る」ことすら難しくなるような気もします。*3
次に、ペナルティの実質的な内容が気になります。2つのサークルが追放になったとして、追放の射程はどこまでなのか。
例えば代表者を変えても追放処分は解除されないのか。追放されたサークルの代表者/メンバーが参加するサークルは追放処分の対象なのか。追放されたサークルから同人誌の委託を受ける行為はOKなのか。
ボーダーラインを公開することは困難です*4が、コミックマーケットの過去の言論を見ると「当該サークルと連続性のあるサークルのみ追放」な気がしなくもないです。
で。世の中には、こういう形で説明がなされない追放事案もちょくちょくあるのだろうな、と想像はしています。正当な理由がない限り、言うまでもなくアウトに決まってます。
法的、というか一般社会の解釈では同人活動も「モノをお金で売っている限り」営利であると見なされます。となると、正当な理由なくある組織の営利的な販売機会を意図的に奪う行為はよろしくないものでしょう。*5
ただ、即売会がインフラとしての役割を果たしているとしても実態としては民間対民間であることを考えると、公的なレベルで通る説明責任を要求する必要はないとも思っています。ルールの想定範囲外の事態というのも起こりうるでしょうし、即売会は主催者レベルでも多くの場合しょせん副業。完璧なルールを求めるのは理想であって、現実的には無理なこともあるでしょう。
とはいえ、ルールに書いてないルールを振りかざすのであれば、当該のサークルが納得するような形で十分な説明をした上で明確かつ妥当なペナルティを科す流れは必須でしょう。