作品解説、はじめました:Voyage into a cage

うちの昔の作品で、こーんなのがあります。


ピアノ 『Voyage into a cage…』 (上海アリス幻樂団 東方永夜抄より) – YouTube

うちの主戦場が二次創作だったころの作品なんですが、おかげさまで海外中心に人気いただいているようで、15万再生ほどになりました。

このテイクは2006年にやった同人ピアノ音楽のリサイタル企画のときのライブ演奏です。この曲自体は派手目の小品なのでオタク系演奏会向けの小品としてちょくちょく演奏してたのですが、フルリサイタルのアンコールとなるとやっぱりテンションが変わるみたいで、このテイクがいちばん演奏効果的にはうまくいってます。

てわけで、作品解説。

2005年にEverfadesさんからリリースされた東方ピアノCD “Reverie” に参加させていただいたのがこの作品の初出です。
アイデアの出発点はヴォヤージュ1969/1970の違いをベースに何か面白いことができないかな?と思ったところ。


IN Stage 6 Theme – Voyage 1969 – YouTube

IN Stage 6 Boss (Final) – Eirin and Kaguya's Last …

どちらも東方永夜抄6面の曲で、1969が道中→1970がボススペル曲ですね。一聴して分かる通り、1969 + メロディー = 1970 です。
で、永夜抄には5面道中で「かごめかごめ」をモチーフにした「シンデレラケージ」って曲があります。


シンデレラケージ ~ Kagome Kagome - 東方永夜抄(IN) – YouTube

で、ここらの材料を組み合わせて面白いことができないかな?と思ったのがはじまりはじまり。

 最初期アイデアでは、「右手のための、左手のための、そして両手のための」という3曲構成の作品でした。右手のためのパートと左手のためのパートを同時演奏すると両手のパートになるというからくりは、エックハルト=グラマテのピアノソナタ第6番がアイデアソースになっています。これを1969/1970の関係に導入する、という構想ですね。

で、次のアイデアが1969/1970の高速パッセージを両手で弾けないか?という発想。最初は三本の手技法とか使ったアイデアもあったのですが、ピアノの前に座って指を動かしているうちにVoyage into a cageのベースになる「ごく狭い音域で左手と右手が両方パッセージを弾く」というテクニックが実行可能(=自分で弾ける)という確信を持てるようになり、「あー、これをコアにして作品作ると面白い!」ということになりました。結果がVoyage Into a cageの1:15~の両手パッセージになってます。

そうやっているうちにシンデレラケージ、というか「かごめかごめ」のモチーフと1969/1970の高速パッセージは同時演奏可能だ、ということに気付いて、3:25~のシーンの一丁上がり。

 これでだいたい材料が仕上がって、あとはガチャコンするだけです。
組み合わせ自体は「よくあるパターン」みたいな感覚なのかなー、と思ってます。もちろん「同じことは二回やりたくないよね~」と、細かいところで原曲への敬意を払うために原曲に見られる細かいモチーフを取り入れるのは基本として。

 

なお、最後にアルカンの「鉄道」を引っ張ってきたのは、まぁご愛敬ですw

Alkan's "Le Chemin de Fer" (audio + sheet …

……と言いたいところなんですが、「片手で、ついで両手で」ってアイデアの出発点はアルカンなんですよね。なので、アイデアそれ自体への敬意って意識もあります。

Marc-Andre Hamelin plays Alkan: Op. 76 Three …

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