私は、M3準備会やコミックマーケット準備会を、信頼していません。
もちろん彼らが即売会を形式的に実現し、サークルが頒布して一般が購入する、という枠組みを作る能力を持っていることは事実であり、信頼とかそういうレベルの話ではありません。
ですが、組織としてのM3準備会やコミックマーケット準備会が信頼に値するだけの存在か?というと、以下の理由から「現状ではそうではない」と言わざるを得ません。
私がM3準備会を信頼しきれない理由。そして、私がコミックマーケット準備会を信頼しない理由。
ただ一つ、彼らの末端が実行していることと、トップレベルで考えていることが違いすぎるからです。
ここで実名/実HNを出すことは控えておきますが、M3準備会のあるスタッフが特定のサークルを同人音楽のコミュニティから追放しようと目論み公に呼びかけたことは、皆さんもご存じの通りだと思います。コミックマーケットのスタッフによる特定のサークルや特定のジャンルを名指しした「あいつらは追放予定/追放済み」という発言も、片手では収まらないほど見聞きしてきました。
ですが、M3もコミックマーケットも、組織として特定のサークル/特定のジャンルを追放しようという考えは原則として持っていないはずです。コミックマーケットは一度だけ追放の決断を下していますが、その一回きりですよね。
コミケをめぐる黒子のバスケ騒動を思い出してください。「特定のジャンルを追放する」という考えがコミックマーケット準備会にあるとしたら、黒子作品での参加見合わせをお願いする決断は苦渋の決断ではなく、日常の決断になるでしょう。現実にはそうではなかったですよね?
なのですが、私たちサークルや一般の参加者から見たら、まず出会うスタッフは末端のスタッフです。トップや組織全体の意識が目の前に立ち現れることはそうそうありません。末端の人たちが変なことをやっている状態で、組織全体が信頼を得ようというのは厳しいのではないでしょうか?
コミックマーケット準備会は、いまや表現の自由の擁護に向けて政治的なアクションを起こしていることが公にされています。ですが、末端のスタッフが特定のサークルやジャンルの追放を口にする状態を放置していると、政治的アクションに対しても「自分たちが好きな、だけど一般には反社会的とされる内容の作品を守りたいだけの理由で表現の自由を言い出している」と思われかねません。
表現の自由はあらゆる作品に適用されるからこそ、コミックマーケットで頒布されるR18な作品に対しても表現の自由が適用されるのではないですか?準備会にとって好ましい作品だから適用される/好ましくない作品には適用されない、というものではないはずです。
もし準備会の主張が「好ましい作品について表現の自由が必要だ」ならば、自民党が多数派をしめる国会で「私たちが好ましくないと思う作品には表現の自由はない」と議決してしまえば終わりですよ。
M3準備会やコミックマーケット準備会がやっていること……言い換えます。あなたがたの「末端のスタッフ」がやっていることは、そういうことです。
あなたたちにとって好ましい作品や作家にのみ表現の自由を主張し、そうでない作品や作家から表現の自由を剥奪しようとしている行為です。
自分たちの表現の自由を、もっと真剣に考えてください。
あなたたちが組織であるなら、組織全体が奉じる重要な思想をきちっと末端まで行き届かせてください。
2014/02/18修正: 一部事項にソースへのリンクを追加しました。